27歳のとき、初めての海外旅行でイギリスを旅しました。
当時は、ほとんど下調べもしていませんでした。
泊まる場所も決めず、行けるところまで移動し、その日の宿は近くのB&Bを探す。そんな行き当たりばったりの旅でした。
マンチェスターでは宿が見つからないかもしれないと焦り、ようやく見つけた宿は少し不安になるような場所にありました。
それでも、その旅は今でも忘れられない思い出です。
そんな旅の中で、一人でロンドンの街を歩いた時間がありました。
目の前を赤い二階建てバスが通り過ぎ、見上げるとそこにはビッグベンが立っていました。
テレビや雑誌で見ていた景色が本当に目の前にあることが不思議で、しばらくその場から動けなくなったことを、今でも鮮明に覚えています。
それから20年が経ちました。
あのロンドンの記憶を忘れたわけではありません。
子育てや毎日の暮らしに追われる中で、その記憶は生活の奥に、静かにしまわれていました。
子どもが少しずつ手を離れ、自分の時間を考えるようになった頃、ふと、あの景色を思い出しました。
ある日、高校生の娘と一緒にアルバムを見返していました。
湖水地方の写真を見て、
「ここ、ピーターラビットのところだよね。」
ロンドンの写真を見て、
「ビッグベンって教科書に載ってた。」
そんな言葉を聞きました。
その一言で、当時の私は知らなかった歴史や物語が、その場所にはたくさんあったことに気づきました。
あの頃の私は、ただ景色を楽しんで歩いていました。
でも今なら、その場所に込められた物語を知りながら歩くことで、同じ景色でも違う出会いがあるのではないかと思っています。
だから、47歳になった今、もう一度イギリスを目指すことを決めました。
20年前の思い出をたどりながら、今だから出会える景色を見つける旅です。
このサイトでは、イギリスを目指すまでの過程を、ありのまま記録していきます。
旅費は生活費に手を付けず、一歩ずつ準備していきます。
旅の準備も、現地で感じたことも、うまくいかなかったことも、飾らず、実際に経験したことだけを書いていきます。
「もう遅いかもしれない。」
そう思っていた私にも、もう一度イギリスを目指したいという気持ちは残っていました。
もし、この記録が、誰かの中にある「まだ消えていない気持ち」を思い出すきっかけになれたら、それだけで十分だと思っています。
27歳の記憶を、47歳の私がつぐ。
その続きを、この場所に少しずつ残していきます。
